片頭痛の新たな治療薬|都立大石森脳神経外科

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片頭痛の新たな治療薬

 片頭痛の新たな治療薬


☆片頭痛の新たな治療薬 エムガルディ・アジョビ・アイモビークが加わり、治療の幅が広がりました!
月一回の皮下注射ですが、その効果は、頭痛の頻度50%減少:59%、75%減少:33%、100%減少:11%と報告されており、当院での実感としてもほぼ全員の方が50~80%の効果を実感し、人生が変わったと述べておられます。是非とも当院で頭痛の相談をされてください!
以下に片頭痛の特徴、治療、予防について記載しております。是非一読をお願いいたします。

片頭痛Migraineとは?

症状・特徴

片頭痛は、女性に多い拍動性の極めて強い頭痛を伴う症候群です。以下にその特徴を列記します。

  • 拍動性の血管性頭痛、激しい頭痛、片側性が多いが、頭部全体の事もある、時に締め付けタイプの頭痛の時もある
  • 80%は女性であるが、男性にも多い
  • 嘔気、嘔吐を伴う事が多い
  • 痛みの前兆として、閃輝暗点・あくび・頭部のむずむず感が多く、時に片側の上下肢のしびれ・麻痺、めまいなどの症状を伴うこともあるが、前兆のない片頭痛が多い
  • 前兆は20分から30分程度で消失し、ゆっくりと軽い頭痛が始まり、その後一気に激しい頭痛へ進展することが多い、時に前兆の直後から激しい頭痛に進展するケースもある
  • 女性では排卵から生理までの間、生理中が多く、天気の悪い時、ストレス・寝不足の時も多い、休みで解放感に満ちた時やPC・スマホのブルーライト暴露の多い時にも多い。
  • 男性では、天気の悪い時、ストレス・寝不足、ブルーライト暴露による誘発を認め、男性は家族性の事が多い
  • 特に女性では、初潮の時期(小学生4~6年生)から始まる事も多いが、受験時期、就職時期、引っ越し・転職などの環境の変化にもみられる、また更年期の時期では、女性ホルモンであるエストロゲンの減少に伴い、片頭痛が悪化することが多い
  • 一度頭痛が起こると、動くと酷くなり、脳が腫れる様に感じ、光の刺激・音の刺激や強い匂いに敏感になり、暗い部屋で静かに寝たくなる
  • 適切な痛み止め、トリプタン系薬剤、ジタン系薬剤など片頭痛用の頓服薬を内服しないと痛みは治まらない
片頭痛の原因
  • 現段階では、メカニズムは分かっていないが、最も有力な説は「三叉神経血管説」です。
  • 三叉神経血管説とは:体のリズムや環境の変化で、セロトニンの消費と枯渇がおこる、その後三叉神経が興奮し、三叉神経終末からCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)やサブスタンスPが放出、すると血管拡張、炎症が誘発され、片頭痛発生すると考えられています。ただまだまだ解明されていない部分が多いです。
  • セロトニンは、幸福ホルモンと言われ、同ホルモンの減少によりうつ状態を誘発する、その為、うつ状態・うつ病の方は、片頭痛を合併しやすいと言われている。治療・予防として、うつ病のセロトニンをコントロールする薬剤を使うこともあります。
片頭痛を悪化させる原因
  • 精神的ストレス環境下やそのストレスから解放された時に起こりやすい
  • 女性では、排卵日~生理までの間に起こることが多い
  • 環境因子:天候や気圧の変化、強い光刺激、騒音
  • 生活習慣:不規則な生活・寝不足、寝すぎ、過食・絶食、脱水
  • 食:チョコレート(カカオ)、チーズ、ナッツ、お酒(赤ワイン)、香辛料の強い食事、強い匂い刺激
片頭痛の治療
  • 片頭痛の治療は、まずは脳の画像検査にて二次性頭痛(脳の中に画像上の異常があって起こる頭痛:脳出血、クモ膜下出血や脳腫瘍など)を否定します。その後まずは生活習慣の見直しをしつつ、急性期治療薬を選定します。
  • 月の頻度が6回を超え、頭痛薬の使用頻度が8回と超えると慢性片頭痛と診断され、予防薬の投与を検討します。現在抗てんかん薬、抗うつ薬、血管に作用する薬、漢方薬など多種類があり、それらの組み合わせによって、お一人お一人の頭痛の特徴に合わせた治療を検討致します。
治療(急性期治療薬)
  • トリプタン系薬剤はセロトニン(5-HT)神経系に作用するお薬(5-HT受容体作働薬)で、脳血管の平滑筋にある5-HT1B受容体、硬膜血管周囲三叉神経終末の5-HT1D受容体、三叉神経核の5-HT1F受容体に選択的・特異的に作用して、それぞれ硬膜血管の収縮、神経終末からのCGRPの放出抑制、三叉神経核における痛みの伝達抑制等の作用を介して片頭痛発作を鎮静、その為にトリプタン系薬剤は頭痛発症前の前兆時、CGRPが三叉神経終末から放出される前に内服する必要があります。
  • ジタン系薬剤として、近年開発されたラスミジタン(レイボー®)は、三叉神経終末のセロトニン5-HT1F受容体を刺激することでCGRPの分泌を抑制し、血管の過度な拡張や炎症・痛みを抑える薬剤。5-HT1B受容体への作用がほぼ無いため、血管収縮に影響を与えない薬剤です。その為片頭痛の痛みを感じてからの内服でも効果を得られます。
  • 急性期治療薬一覧表
分類 製品名 一般名 1回量 追加間隔 Tmax T1/2 禁忌
トリプタン系薬剤 イミグラン錠 スマトリプタン 50㎎
(200㎎)
2時間
以上
1.8 2.2 【トリプタン系薬剤共通】
  • 心筋梗塞の既往歴
  • 脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往
  • 末梢血管障害を有する
  • コントロールされていない高血圧症
  • エルゴタミン・エルゴタミン誘導体含有製剤、
    あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中
併用禁忌 肝機能 腎機能
イミグラン点鼻液 20㎎
(40㎎)
2時間
以上
1.3 1.87 MAO阻害剤 重度 なし
ゾーミック錠 ゾミトリプタン 2.5㎎
(10㎎)
2時間
以上
3.0 2.4 MAO阻害剤 なし なし
ゾーミックRM錠 2.5㎎
(10㎎)
2時間
以上
2.98 2.9
マクサルト錠 リザトリプタン 10㎎
(20㎎)
2時間
以上
1.0 1.6 MAO阻害剤、プロプラノロールは
リザトリプタンの血中濃度をあげる
重度 血液
透析
マクサルトRPD錠 10㎎
(20㎎)
2時間
以上
1.3 1.7
レルパックス錠 エレトリプタン 20㎎
(40㎎)
2時間
以上
1.0 3.2 MAO阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害薬、
ニルマトレルビル、リトナビル
重度 なし
アマージ錠 ナラトリプタン 2.5㎎
(5㎎)
4時間
以上
2.68 5.05 重度 重度
ジタン系薬剤 レイボー錠 ラスミジタン 50㎎
(200㎎)
規定なし 2.5 3.5 なし
予防薬一覧表

片頭痛発作が月に2回以上あるいは6日以上ある患者様では、予防療法の実施について検討してみることが勧められます。急性期治療のみでは片頭痛発作による日常生活の支障がある場合、急性期治療薬が使用できない場合、永続的な神経障害をきたすおそれのある特殊な片頭痛には、予防療法を行うように勧められています。下記に予防薬の一覧表を示します。

「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」

予防薬剤薬効群
Group1
(有効)
Group2
(ある程度有効)
Group3
(経験的に有効)
Group4
(有効、副作用に注意)
Group5
(無効)
抗てんかん薬 抗てんかん薬 抗うつ薬 Ca拮抗薬 抗てんかん薬
バルプロ酸 レベチラセタム フルボキサシン flunarizine クロナゼパム
トピラマート ガバペンチン イミプラミン その他 ラモトリギン
β遮断薬 β遮断薬 ノルトリプチリン methysergide カルバマゼピン
プラプラノロール メトプロロール パロキセチン ジヒドロエルゴタミン Ca拮抗薬
timolol アテノロール スルピリド melatonin ニフェジピン
抗うつ薬 メドロール トラゾドン オランザピン β遮断薬
アミトリプチン 抗うつ薬 ミアンセリン アセブトロール
fluoxetine デュロキセチン ピンドロール
Ca拮抗薬 クロミプラミン アルプレノール
ロメリジン Ca拮抗薬 オクスプレノール
ベラパミル ジルチアゼム その他
ARB/ACE阻害薬 ニカルジピン クロニジン
カンデサルタン ARB/ACE阻害薬
リシノプリル エナラプリル
その他 オルメサルタン
feverfew
マグネシウム製剤
ビタミンB2
チザニジン
A型ボツリヌス毒素

上記表は、内服での予防薬ですが、現在三叉神経終末から放出されるCGRPをブロックする注射薬が開発され、すでに実用化されております。

エムガルディ・アジョビはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合するヒト化IgG4 モノクローナル抗体であり、CGRP受容体を阻害することなくCGRPの生理活性を阻害 する予防薬です。

アイモビークは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP) 受容体に直接作用するヒトIgG2モノクローナル抗体です。患者様自身から分泌されるCGRPのCGRP受容体への結合を防ぐことにより、片頭痛発作の発現を阻害する予防薬です。
ヒト化抗CGRPモノクロナール抗体製剤には下記の3種類があり、①のみ初回2本注射で、4週間に一回の投与となります。片頭痛の予防効果は非常に高く、50~80%の抑制を認めます。
薬物乱用性頭痛を防ぐためにも、早期からのCGRP製剤の導入はおすすめ致します。
特に導入された患者様は、全く人生が変わった、早くから受ければよかったと口々に効果を実感されております。下記に最適使用推進ガイドライン(厚生労働省)があり、厳守が必要です。

  • 医師に片頭痛と診断されていること。
  • 片頭痛が過去3か月の間で、平均して1か月に4日以上。
  • 従来の片頭痛予防薬の効果が不十分、または内服の継続が困難な場合。
  • 妊娠中・授乳中は、十分検討した上での「慎重投与」可。
  • 18歳未満の小児は「使用不可」。

① エムガルディ皮下注120㎎
 2021年4月から販売開始

② アジョビ皮下注225㎎
 2021年8月から販売開始

③ アイモビーク皮下注70㎎
 2021年6月から販売開始

薬物乱用性頭痛の診断基準
  • 頭痛は1か月に15日以上存在する
  • 1種類以上の急性期・対象治療薬を3か月を超えて定期的に乱用している

    ① 3か月を超えて、定期的に1か月に10日以上エルゴタミン、トリプタン、オピオイド、または複合鎮痛薬を使用している。

    ② 単一成分の鎮痛薬、あるいは、単一では乱用に該当しないエルゴタミン、トリプタン、鎮痛薬、オピオイドのいずれかの組み合わせで合計月に15日以上の頻度で3か月を超えて使用している

  • 頭痛は薬物乱用により発現したか、著明に悪化している

 クリニック概要


都立大石森脳神経外科
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